不妊治療の保険適用 凍結胚について

この4月より不妊治療が保険適用となり、病院での治療の方法やスケジュールが今までとは勝手が変わりました。

その為、当院でも患者さんと今後の事についてお話する時に、あれは大丈夫?これは駄目なのかな?と一部手探りの状態になっています。

 

例えばある患者さんから、保険適用後、採卵周期で得られた胚盤胞の内、グレードの高くないものを凍結するかどうか培養士さんから以前より慎重に聞かれるようになったと聞きました。

その患者さんは「一度凍結したら必ず移植しないといけないのかな...」と心配顔。

 

保険治療の場合、凍結胚が0にならないと次の採卵には行けないのですが、グレードの良くない胚盤胞だけが残っている場合それだけを移植するのは妊娠の確率が低く、そこに保険適用の限られた回数を使ってしまうのは難しいものがあります。

 

今までなら採卵周期を始める判断や凍結胚の扱いは患者さんに任されていたので、グレードの高くない胚盤胞は2個移植で戻すなり、凍結料を考えて残念ですが破棄してしまうなり、ある程度自由に決める事が出来ました。

 

「自分の判断で凍結胚を破棄出来るのか?」常識で考えれば出来るはずだと思いますが、保険適用が始まって意外な事が意外な対応になっている事もあるので「大丈夫でしょう」などと無責任な返答は出来ません。

 

結局、出張先の病院の培養士さんに確認した所、凍結した後の胚盤胞についての対応は患者さん本人が決められると教えてもらいました。(ただし、上記の様な状況で胚盤胞の破棄を選択する場合、採卵周期の開始前に破棄の手続きが終了している事が必要)

 

患者さんにもその事を話し、「良かったねー」と一緒に安心して話は終わったのですが、不妊治療が保険適用になって約3カ月、まだまだ知らない事、見落としている事がたくさんあるなあと痛感した出来事でした。

患者さんから安心して治療の相談をしてもらえる様、また患者さんの不利益になるような判断をしてしまわないよう、治療だけではなく保険についても勉強の日々が続きます。